耳栓しても聞こえるのなぜ？正しい耳栓選びと使い方を徹底解説

耳栓をしているのに音が聞こえるのはなぜなのか、知恵袋などのQ&Aサイトを見ても、心臓の音うるさいと感じたり、耳栓してもうるさいのは意味ないのではと不安になる声が多く見られます。

耳栓しても聞こえる音があることや、耳を塞いでも音が聞こえる仕組みを知らないと、正しく使えているのか判断しにくいものです。

耳をふさぐと音聞こえないはずなのに、耳を塞ぐとゴーと音がする、耳を塞ぐとキーンと高い音が鳴る、耳を塞ぐ自分の声がやたら大きく響くといった悩みもよくあります。

静かに眠りたいだけなのに、人の声が聞こえない耳栓を探して試しては失敗を繰り返し、疲れてしまう人も少なくありません。

さらに、睡眠時に耳栓を使うと危険ですか？という疑問や、長く使い続けると耳栓は耳に悪いですか？といった不安も重なり、耳栓 聞こえるのなぜという検索にたどり着く人も多いはずです。

この記事では、こうした疑問をひとつずつ整理しながら、耳の仕組みと耳栓の特性を踏まえて、安心して使うためのポイントをわかりやすく解説していきます。

耳栓でも聞こえるのなぜ？の仕組み

耳栓をしても思ったほど音が消えない、むしろ体の中の音が強く聞こえる、といった疑問は多くの人に共通しています。

耳栓は確かに外部の騒音を抑える効果がありますが、完全な無音空間を作り出す道具ではなく、人の聴覚の仕組みや音の伝わり方に深く関係しています。

耳栓を使ったときに「思った結果と違う」と感じる背景には、空気の振動だけではなく骨を通じて伝わる音、自分の体が生み出す内部音、密閉によって強調される特殊な効果など、複数の要素が複雑に絡み合っています。

これらを理解すると、耳栓に対する違和感や不安が解消され、より適切な使い方や選び方が見えてきます。

ここからは、実際に多く寄せられている疑問を交えながら、耳栓でも音が聞こえる理由を順に掘り下げていきます。

知恵袋と意味ない疑問点

耳栓 聞こえるのなぜという疑問は、知恵袋などの大規模Q&Aサイトでも頻繁に投稿されており、幅広い年代の利用者が共通して抱える悩みとなっています。

投稿内容を観察すると、耳栓を使用した経験がある人の多くが「耳栓をすれば外の音はほとんど聞こえなくなるはずだ」という強い先入観を持ち、その理想像と現実のギャップから「耳栓が意味ないのではないか」という疑念へつながっている傾向が見られます。

しかし、耳栓が全く効果を持たないわけではなく、耳栓には得意とする音と苦手とする音が明確に存在します。

これを理解するためには、音の伝わり方に関する基本的な物理特性を知ることが役立ちます。

一般的な耳栓は、空気を振動させて伝わる空気伝導音に対して効果的で、中音域から高音域の音を弱めやすい構造とされています。

一方で、低い周波数の音は波長が長く、物体や建物を振動させながら広がる特徴があり、耳栓だけで完全に遮断することは困難です。

また、身体の内部から伝わる音、例えば骨伝導や血流による振動音は、耳栓による減衰効果を受けにくいという性質があります。

さらに、耳栓の性能は装着方法に大きく依存します。

耳道の奥まで密着して装着されていない場合、本来の遮音性能（NRR値、SNR値）が十分に発揮されません。

フォームタイプの耳栓では、丸めてから耳道に挿入し、完全に膨らむまで数秒待つ工程が必要ですが、この基本的なステップが省略されているケースが非常に多いとされます。

不適切な装着やサイズ不一致が起きる典型的な例は次の通りです。

●耳道より小さな耳栓を使用して隙間ができている
●耳栓を奥まで入れず、浅い位置で止まってしまっている
●吸音力が低下した古い使い捨て耳栓を繰り返し使用している

これらの状態では、耳栓の遮音性能の一部しか機能せず、雑音がそのまま残りやすくなります。

耳栓が意味ないと感じる背景には、こうした装着不良や音の種類に対する誤解が重なっているため、まずは「どの音に効果があり、どの音には効果が薄いのか」を理解することが、正しく評価するための第一歩になります。

心臓の音うるさい原因

耳栓を着けた際に心臓の音うるさいと強く感じる現象は多くの利用者が経験しており、身体内部の音が目立つ理由として、閉塞効果（オクルージョン効果）と呼ばれる現象が深く関係しています。

閉塞効果は、耳道がふさがれることで、内部で発生した音が外に逃げず、反響しながら増幅される現象を指します。

特に低周波成分の音が増幅されるため、血流音や鼓動が「ドクドク」「ズンズン」といった形で聞こえやすくなると説明されています。

耳栓によって外部からの騒音が抑えられると、相対的に内部の音が強調されるため、普段は意識しない心臓の鼓動が際立つように感じられます。

体内音は骨伝導によって内耳へ直接伝わるため、空気伝導音と異なり耳栓による遮音効果を受けにくいという特徴があります。

横になった状態では、さらに振動が増幅されやすく、枕や布団に接している側の頭部から振動が伝わることで、心臓音が一層強く感じられる場合があります。

これは、寝具や体勢によって骨伝導のルートが変化し、内部の振動が耳付近で反響しやすい環境が形成されるためと考えられています。

ただし、この現象がすべて正常とは限りません。

次のような症状がある場合、医療機関による診察が推奨されています。

●片耳だけに強い鼓動音が続く
●脈拍に同期した耳鳴りが数日以上続く
●頭痛、眩暈、視界の揺れを伴う
●これまでに経験したことのない激しい脈動を感じる

これらは、外耳・中耳・内耳の疾患、あるいは血管系の異常（拍動性耳鳴など）が関与している可能性が指摘されており、異変が続く場合には耳鼻咽喉科や循環器内科での評価が望ましいとされています。

心臓音が気になりやすい場合は、耳栓の種類を柔らかい素材のものに変える、完全遮音ではなく適度に外音が入るハイブリッド型に切り替える、枕や寝姿勢を調整するなど、環境改善の工夫が役に立ちます。

閉塞効果の影響が減ると、体内音の強調が和らぎ、不快感が軽減される傾向があります。

耳栓してもうるさい理由

耳栓してもうるさいと感じる原因は、耳栓自体の性能だけでなく、音の伝わり方や周囲の環境要因が複雑に関与しています。

耳栓の遮音性能は、あくまで空気を介して鼓膜に届く音の減衰に特化したもので、骨伝導音や建物構造を通じて伝わる振動音までは完全に抑制することができません。

この仕組みを理解することが、耳栓の現実的な効果を正しく評価する鍵となります。

耳栓そのものの要因として、素材の密度、耳栓の形状、サイズの適合性、そしてNRR（Noise Reduction Rating）やSNR（Single Number Rating）といった遮音性能指標の違いが挙げられます。

フォームタイプの耳栓は、適切に装着すれば高い遮音効果を示しますが、深く挿入されていない場合は性能が激減するとされています。

反対に、シリコンタイプは長時間使用に向きますが、空気の漏れが生じやすく、フォームタイプほどの高い遮音は期待しにくい傾向があります。

音の伝わり方に着目すると、トラックや地下鉄の走行音、工事現場の低周波振動などは、建物全体を揺らしながら伝わるため、耳栓では完全に遮断できません。

これらの音は長い波長を持つため、壁、床、家具、身体などの広い面積を振動させ、耳栓をすり抜けて骨伝導で知覚されるとされています。

また、自分の足音、食事中の咀嚼音、室内を歩く振動など、身体から発生する音は、耳栓を着けることでむしろ強調される場合があります。

これは、外音が減ることで内部音の相対的な比率が上がり、感覚的に強く感じられるためです。

さらに、強力な耳栓を使用すると、周囲との音圧差が極端に大きくなり、残った音がかえって鋭く聞こえる場合があります。

静寂との対比によって、わずかな振動が強調される現象が起きるためです。

うるささを軽減するには、防音性が高い耳栓を求めるだけでなく、次の観点も重視すると改善しやすくなります。

●耳栓のフィット感や装着深度の最適化
●建物構造による騒音特性を把握する
●低周波振動には耳栓以外の対策（防振マット、家具の配置調整）を併用する
●完全な無音ではなく「気にならないレベル」を目標にする

これらを踏まえることで、耳栓の役割を正しく理解し、環境に応じた使い分けができるようになります。

耳栓しても聞こえる音の訳

耳栓をしても聞こえる音には、共通する特徴があり、その多くは耳栓の性能の限界ではなく、音が人間の耳に届くまでの経路の違いによって説明できます。

耳栓は空気の振動を弱めることを目的とした道具であり、すべての音をゼロにする用途では設計されていません。

特に、骨伝導で伝わる音や低周波振動など、鼓膜を経由しない音は耳栓の影響を受けにくいため、耳栓を装着しても一定の音が残るという現象が起こります。

耳栓の効果を理解するためには、まず「音の種類」と「伝わる経路」の関係を整理することが大切です。

下記の表では、耳栓をしても残りやすい代表的な音を、伝わり方の観点からまとめています。

音の種類	例	主な伝わり方	備考
低い振動音	地下鉄・トラック・工事の重機など	骨伝導・建物の振動	耳栓では減りにくく体全体で感じやすい
体内音	心臓・血流・咀嚼音・自分の声	耳や骨の内部から	耳栓で外音が減るほど目立ちやすい
高い金属音や突発的な音	食器のぶつかる音・ドアの衝撃音	空気伝導＋骨伝導	耳栓で軽減されるが完全には消えない
会話などの人の声	近くの人の会話	主に空気伝導	遮音性能の高い耳栓ほど聞こえにくい

耳栓の性能指標であるNRRやSNRは、実験室で「理想的な装着をした場合の平均的な減音量」を示した数値とされています。

そのため、実際の生活環境では、耳道の形状、音源との距離、建物の構造などの要因により、カタログ値どおりの効果が出ないことがあります。

これらの背景を理解しておくと、「耳栓をしているのにまだ音が聞こえる」と感じる場面でも、どの程度の効果が出ているかを現実的に判断しやすくなります。

耳栓の目的は、音を完全に消すことではなく、気になる音のレベルを「脳が集中できる」「眠れる」「ストレスを減らせる」範囲に近づけることにあります。

特に睡眠や集中用途では、会話の内容が分からない程度に音が弱くなるだけでも実用上十分であるケースが多く、耳栓の評価は「ゼロにできたかどうか」よりも「どれだけ日常生活を快適にできたか」で判断すると満足度が上がります。

耳を塞いでも音が聞こえる訳

耳を塞いでも音が聞こえる現象は、一見すると矛盾しているように感じられますが、音の伝達経路は決して耳の穴だけに限られていません。

人間の聴覚は、空気の振動を鼓膜で受け取る空気伝導だけでなく、骨や皮膚の振動が内耳に直接届く骨伝導によっても成り立っています。

耳を指で塞いだり耳栓を使用しても、骨伝導の経路は遮断できないため、一定の音が耳に届き続ける仕組みが維持されます。

例えば、机に肘をつけた状態でタイピングをすると、指先の振動が肘→腕→頭部へと伝わり、耳栓をしていてもタイピング音が聞こえることがあります。

同様に、電車のレールが生む大きな振動や、建物全体が揺れるような低周波音は、耳の穴とは無関係に体全体へ伝播します。

骨伝導の伝達経路には以下のような特徴が見られます。

●頭蓋骨の大きな面積が振動を拾うため、低音が届きやすい
●体の接触面（床・壁・寝具）から振動が伝わる
●耳道の閉塞によって外音が減るほど、内部振動音が強調される

また、耳を指で塞ぐと、指先から直接振動が骨へ伝わる現象もあるため、静けさを期待して塞いだつもりが、かえって内部音が反響して大きく感じられるケースもあります。

耳を塞いでも聞こえる音をゼロに近づけたい場合、耳栓だけで対処するのは限界があります。

実際には次のような環境改善が有効とされています。

●床からの振動を軽減する防振マットの設置
●壁を伝わる音を弱める吸音材の利用
●家電・家具の配置を振動源から遠ざける
●耳栓と併用して遮音ヘッドホンを用いる

音の伝わり方を多角的に理解しておくと、耳栓だけで対策しようとしてうまくいかない理由が明確になり、より適切な工夫を選びやすくなります。

耳ふさぐ音聞こえない仕組み

耳をふさぐと音聞こえないと感じるのは、主に「空気伝導音」が弱まるためです。

耳の穴を塞ぐことで、外部の空気振動が鼓膜に届く道が阻害されるため、特に中高音域の音が大きく減衰します。

耳栓の素材が柔らかいフォームであってもシリコンであっても、この空気伝導の遮断によって生活音の多くが弱まり、静けさが得られる仕組みになっています。

とはいえ、耳をふさいでもすべての音がなくなるわけではありません。

低周波音や骨伝導音は、耳道の閉塞とは関係なく身体を伝わって内耳へ到達するため、完全に遮断されることはありません。

音の波長が長い低周波音ほど、建物や家具、床などの大きな構造物を振動させやすく、この振動が骨を介して耳に届きます。

耳をふさいだときにどの音が弱まり、どの音が残りやすいかを整理すると、次のような傾向が見られます。

●人の会話や高音域の電子音：比較的大幅に小さくなる
●換気扇や空調の低い連続音：ある程度弱まるが残りやすい
●工事の振動音や電車の走行音：体全体で感じやすく残りやすい

また、耳の穴に蓋をすると閉塞効果が発生し、内部の音が増幅されやすくなります。

咀嚼音、呼吸音、歩行時の振動、自分の声などが強く響く理由は、この閉塞効果によって音が外へ逃げず耳の内部で反射するためです。

耳栓選びにおいては、遮音性能（SNR/NRR値）だけでなく、「どんな音を減らしたいのか」を具体的に考えることが満足度を高める要素となります。

高音中心の騒音を抑えたい場合と、低周波振動を軽減したい場合では、適切な製品や対策が異なるためです。

環境の音特性と耳栓の得意・不得意を理解することで、理想と現実のギャップを減らし、静かな環境を作りやすくなります。

耳栓でも聞こえるのなぜ？の対策

耳栓を使っても思うように静かにならないとき、原因を正しく理解すると対策は大きく変わります。

体内音が強調されてゴーと響く、声だけ残って聞こえる、耳鳴りが気になるなど、耳栓がもたらす違和感にはそれぞれ明確な理由があります。

つまり、適切な耳栓の種類選びや装着方法の工夫、環境づくりの見直しなど、目的に合わせた対策を行うことで、多くの問題は改善できる可能性があります。

ここからは、耳栓による不快感を減らし、求める静けさに近づくための具体的な方法を順に解説していきます。

最後には、耳栓の限界やメリットを踏まえて、上手に使いこなすためのポイントも整理します。

耳を塞ぐとゴーと音がする訳

耳を塞ぐとゴーと音がするとき、多くの場合は耳の外側から入ってくる騒音ではなく、自分の体の中で常に発生している音が強調されて聞こえています。

耳の穴がふさがれることで外耳道が密閉され、外部の音は弱まる一方、鼓膜より内側に近い場所で生じている振動が逃げにくくなり、耳の中でこもったように響きやすくなります。

このとき関わってくる現象が、音響学や聴覚医学の分野で知られる閉塞効果（オクルージョン効果）です。

耳栓やヘッドホンで耳道を塞ぐと、骨伝導で伝わってきた体内音が耳道内で反射し、特に低い周波数帯（おおよそ100から1000Hz程度）の音が増幅されると報告されています。

低音は波長が長く、狭い空間で反射と共鳴を起こしやすいため、ゴーという低く連続した音として認識されやすくなります。

ゴーという低い連続音の正体としては、次のようなものが挙げられます。

●血管を流れる血液の音
●呼吸に伴う気流の音
●首や顎の筋肉の動きによる微細な振動

耳栓や指で耳をふさぐと、これらの体内音が鼓膜付近の狭い空間で反響し、トンネルや洞窟の中で音が響くような状態になります。

周囲の環境が静かであればあるほど外部の雑音が減り、相対的に体内音だけが前面に出てくるため、「耳を塞いだ瞬間にゴーという音だけが浮き上がる」という感覚につながります。

ただし、いつもと違う違和感がある場合には注意が必要です。

例えば、
●ゴーという音が片側の耳だけで強く続く
●頭を動かしたり寝返りを打ったりすると急に音の強さが変わる
●めまい、吐き気、強い頭痛、耳の痛みなどを伴う
といった状況が続く場合、中耳や内耳、血管の異常などが関わっている可能性が指摘されています。

こうした症状があるときは自己判断に頼らず、耳鼻咽喉科で状態を確認してもらうことが推奨されます。

日常的な範囲での違和感にとどまり、耳栓を外すとほとんど気にならない程度であれば、次のような工夫で軽減を目指せる場合があります。

●完全防音タイプではなく、わずかに外音を取り込む設計の耳栓を選ぶ
●耳栓の装着を少し浅めにして、閉塞感を弱める
●枕の高さや硬さを変え、頭や首への振動の伝わり方を調整する
●横向きに寝る場合、下側の耳に過度な圧力がかからないように姿勢を工夫する

このように、ゴーという音は多くの場面で体内音が強調された結果として説明でき、耳栓の性能不良というより、人間の聴覚の仕組みが関係している現象と理解すると納得しやすくなります。

人の声が聞こえない耳栓選び

人の声が聞こえない耳栓を探すときは、「遮音性能の数字」だけを見て選ぶのではなく、「どの周波数帯をどれくらい減らす設計なのか」に注目することが欠かせません。

日常会話の中心となる周波数はおおよそ500から2000Hzの範囲に集中しているとされ、この帯域の減音量が大きい耳栓ほど、会話の内容が聞き取りにくくなります。

耳栓の性能は、NRR（Noise Reduction Rating）やSNR（Single Number Rating）という指標で示され、一般的な製品ではおよそ20から35dB程度の値が付けられています。

ただし、この数値は理想的な条件で試験したときの目安とされており、実際の使用環境では装着具合や耳の形状によって効果が大きく変化します。

そのため、数字だけを見て判断するのではなく、装着感や使用シーンを踏まえてトータルで選ぶことが大切です。

耳栓の選び方の目安として、主な種類と特徴を整理すると次のようになります。

耳栓の種類	特徴	人の声への影響の目安
ウレタンフォーム耳栓	柔らかく安価、使い捨てが多い	しっかり装着すると声もかなり減る
シリコンフランジ耳栓	洗って繰り返し使用可能、サイズ調整可	中程度の減音で声は少し聞こえる
カスタムメイド耳栓	耳型を取って作る、高いフィット感	設計次第で声を大きく減らせる
音楽用・コンサート用耳栓	音質を保ちながら全体を均等に減音	声は聞こえるが音量は下がる

人の声が聞こえない耳栓にできるだけ近づけたい場合は、フォームタイプの耳栓や遮音性能の高いカスタムメイド耳栓などが候補になります。

フォームタイプは耳道の形に合わせて膨らみ、隙間を埋めやすい特徴があるため、きちんと奥まで挿入すれば会話音を大きく減らせるとされています。

カスタムメイド耳栓は耳型を採取して作製するためフィット感が高く、設計によっては特定の帯域を重点的に減音することも可能です。

ただし、人の声を限りなくゼロに近づけるほど強力な遮音を行うと、生活の安全性とのバランスが崩れるおそれがあります。

緊急時のアラーム音やインターホン、家族からの呼びかけに気づきにくくなるため、自宅や職場で常用する場合には注意が必要です。

職場や自習スペースでは、あえて人の声を完全に消すのではなく、「話している内容までは分からないが、人がいることだけ分かる状態」に留める方が安全面に配慮しやすいケースがあります。

このような環境では、音楽用耳栓や中程度の遮音性能を持つシリコンフランジタイプが有効です。

全体の音量は下がりつつも、周囲の動きや気配をある程度把握できるため、急な連絡や呼びかけにも対応しやすくなります。

一方で、睡眠中に隣室の会話やテレビの音がつらい場合は、フォームタイプの耳栓を正しい方法で深く装着することが効果的です。

耳道の長さや太さは人によって大きく異なるため、複数の製品を少量ずつ試し、以下の点を満たすものを選ぶと長期的に使いやすくなります。

●装着したまま横になっても痛みが出にくい
●外したあとに耳の中がひりひりしない
●会話音や生活音が「遠くに感じる」程度までしっかり減る
●寝返りを打っても外れにくい

「数字だけでは分からない部分」を実際の使用感で確認しながら、自分の目的と耳の形に合った耳栓を選ぶことが、満足度の高い防音対策につながります。

耳を塞ぐとキーンと自分の声

耳を塞ぐとキーンと音がしたり、自分の声が普段より大きく頭の中で響いて感じられたりする現象は、多くの人に共通する感覚です。

このとき耳に届いているのは主に、自分の身体の内部で生じた音と、耳道の閉塞による圧力変化の影響と考えられています。

キーンという高い音は、耳鳴りの一種として説明されることが多く、特に静かな場所や耳をしっかり塞いだ状態では、通常は周囲の音に紛れて意識されにくい耳鳴りが目立ちやすくなります。

耳鳴りの診療ガイドラインでは、耳鳴りそのものは人口の一定割合に見られるありふれた症状であり、多くは一過性で問題にならないとされています。

一方で、長期間持続したり、生活の質を大きく低下させたりする場合には、耳や脳の疾患が関わっていることもあると記載されています。

耳を塞ぐ 自分の声がこもって聞こえる感覚は、前述の閉塞効果によって自分の声の骨伝導成分が強調されることが主な要因とされています。

普段、人は自分の声を「空気伝導で耳に届く音」と「骨伝導で頭蓋骨を通って届く音」の両方を同時に聞いています。

耳を塞ぐと空気伝導の経路が弱まり、骨伝導成分がほぼそのままの音量で残るため、低くこもった響きが強く感じられるようになります。

この現象は、耳栓やイヤホンを装着したときに自分の声がいつもより大きく聞こえる経験としてもよく知られています。

特に、しっかりと密閉するカナル型イヤホンや高遮音タイプの耳栓では、声だけでなく咀嚼音、足音、キーボードを叩く音なども強く感じられやすく、慣れるまで違和感を伴うことがあります。

自分の声やキーンという音がどうしても気になる場合には、次のような工夫が役立つことがあります。

●耳栓を完全に密閉せず、少しだけ外音が入るタイプに切り替える
●片耳だけ耳栓をして、もう片方の耳は開けておく
●会話が多い場面では耳栓を一時的に外し、集中が必要な作業時だけ装着する

こうした工夫により、閉塞効果が弱まり、耳鳴りや自分の声の違和感が軽減される場合があります。

しかし、キーンという高音の耳鳴りが長期間続く、音がどんどん大きくなる、難聴やめまいが同時に現れる、といった状況では、単なる一時的な現象ではなく、耳や神経に関連した疾患が隠れている可能性もあります。

そのような場合には、耳鼻咽喉科での診察を受け、必要に応じて聴力検査などの精査を行うことが推奨されています。

耳を塞いだときのキーンという音や、自分の声のこもり感は、耳栓の性能不足ではなく、人間の聴覚と骨伝導の特徴が表面化したものと理解すると、過度な不安を抑えつつ、適切な対策を取りやすくなります。

睡眠時に耳栓を使うと危険ですか耳栓は耳に悪いですか

睡眠時に耳栓を使うと危険ですか？という疑問や、長時間の使用で耳栓は耳に悪いですか？という不安は、特に毎晩のように耳栓を使っている人にとって大きな関心事です。

医療機関や専門機関の情報では、正しい使い方と衛生管理を守れば、耳栓は多くの人にとって比較的安全な騒音対策・睡眠補助として用いられているとされています。

一方で、誤った使い方や不衛生な取り扱いは、外耳炎などのトラブルのリスクを高める可能性があると報告されています。

指摘されているおもなリスクとして、次のような点があります。

●同じ耳栓を長期間使い続けることで、外耳道に細菌やカビが増え、外耳炎を起こしやすくなる可能性
●耳栓を深く押し込み過ぎることで、耳垢が奥に押し込まれ、耳垢栓塞を起こしやすくなる可能性
●完全に遮音するタイプを使うことで、火災報知器や緊急の呼びかけ、赤ちゃんの泣き声などに気づきにくくなるリスク

急性外耳炎のリスク要因として、耳栓やイヤホンの使用、湿気、長時間の閉塞環境などが挙げられている医学的なレビューもあり、耳の中が高温多湿な状態になりやすい夜間の連続使用では、清潔さと使用時間の管理がより重要になります（出典：American Academy of Family Physicians “Acute Otitis Externa: Rapid Evidence Review”）。

これらを踏まえ、睡眠時に耳栓を使用する場合は、次のようなポイントが推奨されています。

●使い捨てタイプは数回以内を目安に交換し、汚れや劣化を感じたらすぐに廃棄する
●繰り返し使えるシリコンタイプなどは、メーカーの案内に従い、定期的に洗浄・乾燥させる
●痛みを感じるほど強く押し込まず、耳道の皮膚を傷つけない範囲にとどめる
●アラーム音や家族の声に気づけるよう、遮音し過ぎない製品を選ぶ、または片耳だけ装着する

耳栓は耳に悪いですか？という問いに対しては、専門機関の情報では、「清潔な管理と適切な装着を守れば、多くの人にとって有用な道具として安全に利用されている」という見解が示されています。

ただし、耳の皮膚がもともと弱い人、外耳炎を繰り返している人、耳の手術歴がある人などは、個別の注意が必要になる場合があります。

このような場合には、耳鼻咽喉科で耳の状態を確認してもらい、耳栓の使用可否や適した種類について相談することが望ましいとされています。

睡眠の質を上げるうえでのメリットとしては、隣室の生活音や外の交通騒音、早朝の工事音などの影響を減らし、「途中で目が覚めてしまう回数を減らせる」「寝入りがスムーズになる」といった効果が期待されます。

一方で、周囲の音が聞こえにくくなることで、緊急時に対応が遅れるおそれもあるため、自宅環境や家族構成に合わせた使い方が重要です。

例えば、
●一人暮らしで火災報知器のみが安全の頼りになっている環境では、完全遮音タイプより中程度の遮音タイプを選ぶ

●小さな子どもがいる家庭では、片耳だけ耳栓を使う、もしくはドアの開閉音や泣き声には気づける程度の遮音性能に抑える
といった工夫が考えられます。

このように、睡眠時の耳栓使用にはメリットとリスクの両面があり、「必ず危険」「必ず安全」と言い切れるものではありません。

自分の耳の状態、生活環境、必要な安全レベルを踏まえたうえで、適切な種類と使い方を選ぶことが、耳栓と長く付き合っていくための現実的な方法といえます。

【まとめ】耳栓でも聞こえるのなぜについて

最後に本記事で重要なポイントをまとめます。